過去、現在そしてこれからの春吉の魅力を語るコラム
様々な方が春吉への思いを熱く語るインタビューです
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春吉のイメージ写真と編集後記
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晴好大通りバックナンバートップ>第7回

記憶にとどめておきたい
歴史のエピソードがある。
春吉にはこんな話があるそうだ。
過去、現在そしてこれからの春吉の魅力を語るコラム
〜 春吉タイムスリップ 〜
い地図を眺めていると、そこここの街角にどんなドラマがあったのかな、などとふと思ってしまう時がある。いま手元に明治43(1910)年刊の福岡市全図がある。博多区や中央区の町名や地形は当然のことながら今とだいぶ違う。例えば現在の舞鶴公園は「第35旅団司令部」、「営内練兵場」などとなっているし、もちろん国体道路などもまだない。春吉のあたりはというと、今の国体道路付近から住吉橋手前の六軒屋と呼ばれた所まで、南東に大通り(現在の春吉中通り)が伸び、北から順に7本の横筋が碁盤の目のように並んでいる。そこは現在、春吉3丁目のあたりだが、当時は1番丁〜7番丁という町名だった。江戸時代、春吉は黒田藩の主に足軽の居住地だったというから、その名残なのだろう。旧町名は昭和37(1962)年に町界町名の整理が行われるまで続いた 。

回紹介した春吉出身の文学者・原田種夫さん(享年88歳、1901〜89)が残した著述によると、彼が少年だった明治後期から大正初期の頃の、1番丁から7番丁の十字路(四辻)での思い出が次のように描かれている。

「中でも、一ばん大きい四辻は、春吉4番丁であった。幼い日に、その四辻に、大きい井戸の跡がはっきりと残っていた。おそらく、そこに足軽たちの共同井戸があったのだと思われる」、「井戸の跡が残っているところは、ちょっとした広場になっていた。ここが少年少女たちにとっては、唯一の辻遊びの場となっていた。(略)猪の首を自転車の上にのせて、『猪の肉いらんかねえ。』と、叫んで廻る猪の肉売りは、きまって、四辻に、ぴゅうぴゅうと寒い寒い風が吠える師走にやって来た。猪は、目をしっかり閉じてはいたが、首のあたりに血潮がにじみ、鋭く黄い牙をむいた貌は、残念無念と叫んでいるように見えた」、「娯楽が少ない時代だから、たまに来る猿廻しなどは、大した観せものであった。猿廻しが、小さい太鼓を叩き、何か命じると、小さい動物は、逆立ち、宙がえり、なんでもした。面白くてしようがなかった」。
(「博多ばってん」1981年秋 NO.104号、連載「博多散歩」の「春吉四辻の記」より)

イノシシの首を自転車に載せて走るイノシシの肉売りや、猿回しまで街角に現れたとは・・・。狭い通りをひっきりなしに車が走り、歩いていると危なさを感じる今では、想像さえできない光景である。この記事の中には、ほかに飴細工屋の爺さんやコウモリ傘の修理屋、桶の輪がえ、キセルのラオ換えなどの商人も、四辻にやってきては子供たちを喜ばせたことも綴られている
吉には民話も残っている。福岡県内で昔から語り伝えられている民話を明治生まれの老人らに聞き、蒐集した「福岡民話集」(檜垣元吉編、叡智社、1971年発行)という本がある。その中に「猫と犬」という題名の春吉発の民話が収められている。原文は方言で書かれているが、あえて現代文に訳すと、あらすじはこんな感じだ。

ずっと昔、お爺さんとお婆さんが、猫、犬とともに住んでいた。ある日、家の大切な宝ものが無くなってしまった。そこで彼らは猫と犬にその宝ものを探してこいと言いつけた。猫と犬は連れ立って探しに出かけた。大きな川があり、猫は川を渡れないので犬の背中に乗せてもらった。悪者の所へ来ると、犬は背中の猫を降ろして待っていた。猫は天井へ登っていって、そこのネズミたちに「今日中に悪者が箱の中にしまっている宝ものを持ってこい。さもなければ食ってしまうぞ」と言った。ビックリしたネズミたちは仲間を集めて、鍵のかかった箱をかじり、中の宝ものを猫の所へ運んできた。猫は「よし、食べないでおいてやろう」と言って、また犬の背中に乗って家に帰った。心配していたお爺さんたちの元へ宝ものを持って帰ると、猫は褒められ、「猫は座敷に上がれ。犬は何も持ってこなかったので外にいろ」と言われた。それから猫は座敷に、犬は庭にいるようになり、仲が悪くなった・・・というお話。

いにしえの街角の光景と、長年語り継がれてきた民話。古い地図にそれらを重ね合わせてみると、昔の子供たちの笑顔や真剣な表情が浮かんでくるような気がする。個人的にはお爺さんとお婆さんの「宝もの」とは何だったのかが気になるのだが。

(文/フリーランスライター・西松宏)
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